私の1989年 レガシィRSタイプRA

My LEGACY RS シート

シートも純正。

 前面衝突の場合、スバルの水平対向エンジン搭載車のクラッシュストロークが、たとえば横置き直列4気筒の一般的なクルマより長いというのは本当で、数多く見てきた、おそらくかなりシリアスな速度でフロントから衝突したと思われるケースでも、水平対向エンジンが嵩が低いためにキャビンに食い込む前にかなりの確率でトランスミッションと一緒に前席フロア下に落ちているようだ。

 ただ、40〜60km/hというごく日常的な速度でも、事故の際の減速Gは凄まじいものだから、エアバックもシートベルトのプリテンショナーも付いていないBC5の場合、頭部をステアリングにしこたま打ち付けることになる。

 モータースポーツではヘルメットを被るから「おいた」をやらかしても、まあ自己責任で済むが、リアルワールドでしかも脱サラして「身体が資本」、家族がいる現在では万一の場合の備えがなければいけない。事故に巻き込まれて、のんびり入院している暇はないのである。

 だから、Sabeltの4点式シートベルトは別に「飾り」ではなく、乗るたびにきちんと「リュック」を背負っている。

 違反切符を切られるなどという消極的理由は別にしても、スバルに乗る人でクルマに乗る際のシートベルトの重要性を軽視している人はまさかいないとは思うが、家族がいてもいなくても、シートベルトは締める、そして公道ではくれぐれも安全運転を心がけることは、クルマに乗る人間が果たすべきひとつの「社会的責任」だと思う。

 この時代のスバルのシートは押しなべてデキが悪いというのは本当の話で、私もBC5レガシィRSに乗り始めた最初は(20代はじめ)、ロングドライブでお尻と腰に疲労が集中して辛くて仕方なかったのだが、1台目のBC5は30万キロ乗って腕を磨き、その後も12台も「腐れ縁」が続くと、なんと人間がシートに馴染んでしまうのだ(笑)。

 だから今でも腰回りのサポートは甘いと思うのだが、東京から日帰りで1,200kmを走っても快適だし、GC8のSTIやGDBのシートも持っているのだが、日常は乗り降りもしやすいこのシートが割と気に入っている。

 ただ、RSタイプRのシートはA,Bタイプともにランバーサポートと座面調整機能が付かないので、生地とトリムカラーが同じBタイプのRSのものに付け替えている。

プロドライブ製シフトノブ

シフトノブはWRCでプロドライブ・レガシィがつけていたものと同じ。

 あのマクレーやバーンズ、ポッサム、リアッティもこのシフトノブを握ってレガシィを走らせていたのだ。

 BC5に限らず、TY75型トランスミッションはモータースポーツに使うとなると容量も強度も不十分で、一部のサイトでは「ミッション御殿が建つ」などと揶揄しているところもあるが、私も現役で走っていた頃は、このトランスミッションには散々泣かされた。

 ダートトライアルとラリーで戦っていたが、はじめの1年で3回のミッションブロー。

 1回目はディーラーも渋々クレームで対応してくれるが、同じクルマで2回目からは実費である。3回のトランスミッション載せ換えでしめて60万円也!思い描いていた優雅なサンデーレーサーの生活は、一転して毎日の仕事と素人の「俄か整備士」の二束のわらじ、ボロボロになって迎えた週末にセッティングもままならないクルマでなんとか競技に出場、格下のクルマの後塵まで拝するという悪夢のような生活に変わってしまった。

 あのポッサムも、群馬製の1990年のサファリ出場車を譲り受けてオーストラリア選手権に出場していた頃のことについて”群馬製のトランスミッションは1戦毎にオーバーホールが必要な難物だった”と自伝の中で述べている。

 おそらくこのミッションもTY75型をドグクラッチに改造したものに毛が生えた程度のものだったろうから、実際、実質的には圧倒的にアンダーパワーのレオーネからのキャリーオーバーであるこのトランスミッションをモータースポーツで使うにはムリがあったのだろう。

 まあ、そのおかげでクルマの整備についての貴重な経験が積めて、さまざまな人たちの助けを得て人の輪が広がって、このときの苦労がクルマについてのさまざまな知識を得ることに繋がって、現在の私の「メシの種」になっているだけに今となっては「いい思い出」である(笑)。

 ただ、誤解のないように書き添えておくと、一般的な使われ方でそうそう壊れるミッションではないということ。モータースポーツをやらずにそれでも「壊れた!」という人は、自分の想像以上にクルマに負担を掛けたドライビングをしているということだ。

 私の経験ではそういうドライバーはえてして速くないし、速く走れないことをすぐにクルマのせいにしたがる傾向がある。

 そもそもマニュアル・トランスミッションの高性能車に乗るのに、ヒール・アンド・トゥもできないドライバーにそのクルマを語る資格なんてないだろう。

テクノマグネシオ ホイール

ホイールはテクノマグネシオ type202 というアルミではなくて、マグネシウムホイール。

 付いてきたGDAのNB用16インチはそもそも重い上にデザインも好きではないので、タイヤを外してクリーニングして保管。

 スバリストの方ならよくご存知のことと思うのだが、WRCに出場していたプロドライブ・レガシィはこれと同じデザインの15インチのテクノマグネシオを履いていた。スピードライン製の8スポークに変わるのは、1993年のポルトガル以降だ。

 ハブが別物だけにオフセットは全然違うが、レプリカとしてBC5に履かせるには好適なホイールだと思う。

 とにかく軽くて真円度が高い。ただ、材質がマグネシウムだけに、ブレーキダストのクリーニングをサボると、たちまち腐食の原因になるのであまり一般向きではないかも知れない。

 純正の15インチの6スポークホイールもなかなかいいホイールである。現役時代はホイールを買うお金がなくて、ホイールを履き替えた知り合いから譲ってもらっては、何度も何度もタイヤを付け替えてダートラに使っても割れたりせず丈夫で、15インチの中では充分軽量なホイールだった。

 余談だが、この純正の15インチホイールもA,BタイプとCタイプ以降のものでは、全く同じデザインながら、裏のスポーク部のリムとの接合部分のリブが削られたりコストダウンの関係からか微妙な差異がある。今度暇なときに写真に撮って紹介したいと思う。


前ページへ前ページへLEGACY RS TOPへ次ページへ次ページへ